クロールで進まない理由は?子どもに多い7つの原因と前に進むためのコツを水泳コーチが解説
「クロールをしているのに、なかなか前に進まない」
「バタ足を一生懸命しているのに進む距離が短い」
「同じくらい手足を動かしているのに、周りの子より遅い」
クロールを練習しているお子さまを見ていて、このように感じたことはありませんか?
前に進まないと、
「もっと強くバタ足をした方がいいのかな?」
「腕の力が足りない?」
と思うかもしれません。
しかし、クロールで前に進まない原因は、単純な筋力不足とは限りません。
むしろ子どもの場合は、
姿勢・キック・腕の使い方・呼吸などが原因で、水の抵抗を大きくしている
ケースもあります。
つまり、クロールで前に進むためには、
「もっと頑張って泳ぐ」より「少ない抵抗で効率よく進む」
ことが重要です。
この記事では、水泳コーチの視点から、子どものクロールが進まない主な原因と、前に進みやすい泳ぎ方を身につけるための練習方法を詳しく解説します。
クロールで進まないのはなぜ?
クロールで前へ進むためには、大きく2つのポイントがあります。
① 水を後ろへ押して推進力を作ること
そして、
② 水の抵抗をできるだけ小さくすること
です。
例えば、腕でしっかり水を後ろへ押せていても、足が大きく沈んでいれば水の抵抗が増えます。
反対に、きれいな姿勢で浮けていても、水を十分に後ろへ押せていなければ前には進みにくくなります。
そのため、
クロールで進まない=バタ足が弱い
とは限りません。
「進む力」と「水の抵抗」の両方から原因を考える必要があります。
クロールで進まない7つの原因
原因① 足が沈んでいる
クロールで進まない子に多い原因の一つが、足が沈んでいることです。
頭から足までが水面に近い位置にあると、水の抵抗を抑えやすくなります。
一方で、
頭が水面
↓
腰が沈む
↓
足がさらに沈む
という斜めの姿勢になると、体全体で水を受けるようになります。
すると、同じ力で泳いでも前へ進みにくくなります。
足が沈む主な原因
- 顔を前へ向けている
- 頭を持ち上げている
- 息継ぎで顔を上げている
- 体に力が入りすぎている
- キックが大きすぎる
などが考えられます。
「もっとバタ足をして浮かせる」のではなく、まずは姿勢から確認しましょう。
原因② バタ足が大きすぎる
クロールで進むために、
「大きく強くバタ足をしよう」
と考える子もいます。
しかし、膝を大きく曲げてキックすると、水の抵抗が増えてしまうことがあります。
また、大きなバタ足を続けると体力も消耗します。
結果として、
強くキック
↓
あまり進まない
↓
さらに強くキック
↓
疲れる
↓
フォームが崩れる
という状態になることがあります。
改善するポイント
バタ足は、
股関節から脚全体を動かし、小さくリズムよく行う
ことを意識します。
水面を大きく叩く必要はありません。
原因③ 膝からバタ足をしている
バタ足をするときに、膝だけを大きく曲げ伸ばししている子もいます。
いわゆる「自転車こぎ」のようなキックです。
この状態では、水を効率よく後ろへ送ることが難しくなります。
さらに膝が前へ出ることで、水の抵抗も大きくなります。
改善するポイント
「膝を伸ばしたまま固める」のではなく、
脚の付け根から脚全体を動かす
イメージを持ちましょう。
膝や足首は自然に動く程度で構いません。
原因④ 腕で水を後ろへ押せていない
クロールでは、腕を回しているだけでは十分に前へ進めません。
大切なのは、
水を捉えて後ろへ押すこと
です。
初心者の子どもでは、
手を水に入れる
↓
すぐ横へ抜く
↓
腕を前へ戻す
という動きになることがあります。
これでは水を十分に後ろへ送れません。
改善するポイント
手を入れたら、
「水を後ろへ送る」
という感覚を意識します。
腕を速く回すことよりも、1回のストロークで前へ進む感覚を身につけることが大切です。
原因⑤ 腕を速く回しすぎている
前へ進まないと、
「もっと速く腕を回そう」
とする子もいます。
しかし、腕の回転数を増やせば必ず速く進むわけではありません。
水を十分に捉える前に腕を動かしてしまうと、
手だけが空回りしている状態
になることがあります。
さらに腕を速く回すことで、呼吸のタイミングも取りにくくなります。
速さよりも、
1回のストロークでどれくらい前へ進めるか
を意識してみましょう。
原因⑥ 息継ぎで姿勢が崩れている
「息継ぎなしなら進むのに、息継ぎをすると急に進まなくなる」
という場合は、呼吸動作を確認しましょう。
特に多いのが、息継ぎの際に顔を上へ持ち上げてしまうことです。
頭を上げる
↓
腰が沈む
↓
足が沈む
↓
抵抗が増える
↓
減速する
という流れになります。
改善するポイント
息継ぎでは、
顔を「上げる」のではなく「横へ向ける」
ことを意識しましょう。
体の回転を利用して、口が水面から出る程度で呼吸します。
原因⑦ 全身に力が入りすぎている
「沈まないように」
「速く泳がないと」
と意識するほど、全身に力が入ってしまう子がいます。
肩、首、腕、脚まで力が入ると、体が硬くなり、スムーズな動きが難しくなります。
水泳では、
力を入れることと同じくらい、余計な力を抜くこと
も重要です。
特に腕を前へ戻すときや、体を伸ばすときはリラックスすることを意識しましょう。
クロールは腕と足、どちらで進む?
「クロールはバタ足で進むの?」
「腕で進むの?」
という疑問を持つ方もいると思います。
どちらもクロールには必要です。
ただし、それぞれ役割があります。
腕は、水を捉えて後ろへ押すことで推進力を生みます。
バタ足は推進力に加えて、姿勢を安定させたり、泳ぎのリズムを作ったりする役割があります。
そのため、
「進まないから、とにかくバタ足を強くする」
という考え方だけでは改善しないことがあります。
腕・脚・姿勢をセットで確認することが重要です。
バタ足だけで進まない場合は?
ビート板を持ってバタ足をしても、ほとんど前へ進まない子もいます。
その場合は、
- 膝を大きく曲げていないか
- 脚を開きすぎていないか
- 足首に力が入っていないか
- キックが大きすぎないか
- 脚の付け根から動かせているか
を確認してみましょう。
特に足首が硬くなっていると、水をうまく後ろへ送れないことがあります。
足先まで力を入れて固めるのではなく、足首はリラックスさせることを意識しましょう。
クロールで前に進むために大切な5つのポイント
① まず真っ直ぐ浮く
手足をたくさん動かす前に、
水の抵抗が少ない姿勢
を作ることが重要です。
頭から足までをできるだけ一直線に近づけます。
② 水を後ろへ押す
前へ進みたいときに重要なのは、水を後ろへ送ることです。
腕を速く回すのではなく、手で水を捉える感覚を意識します。
③ バタ足を頑張りすぎない
大きく強いキックではなく、小さくリズムよく行います。
特に25m完泳が目標の場合は、最初から全力でキックすると後半に疲れてしまいます。
④ 息継ぎで頭を上げない
呼吸するときも姿勢をできるだけ崩さないことが大切です。
体を少し横へ向け、その動きに合わせて呼吸します。
⑤ 1回の動作で進む距離を意識する
「手を何回回したか」ではなく、
「1回のストロークでどれくらい進めたか」
を意識してみましょう。
少ない動作で進めるようになると、25mでも疲れにくくなります。
クロールで進まない子におすすめの練習方法
練習① けのび
まずは壁を蹴り、
両腕を前へ伸ばして真っ直ぐ進みます。
この練習では、
何もしなくても正しい姿勢なら水の中を進める
という感覚を覚えます。
5m程度を目標に、できるだけ真っ直ぐな姿勢を作りましょう。
練習② 小さなバタ足
けのびの姿勢から、小さなバタ足を追加します。
ポイントは、
速く進もうとしないこと。
脚の付け根から小さく動かし、姿勢を崩さないことを優先します。
練習③ 片手クロール
片方の腕を前へ伸ばし、もう片方の腕だけで水をかきます。
腕を速く回すのではなく、
「水を捉える」
↓
「後ろへ押す」
↓
「前へ戻す」
という流れを確認します。
練習④ ストローク数を数える
例えば10m泳ぐとき、
「腕を何回回したか」
を数えてみます。
次は、同じ10mを少し少ない回数で泳げるか試します。
無理に腕を止めるのではなく、
1回のストロークで進む距離を長くする
ことが目的です。
練習⑤ ゆっくりクロール
速さを競わず、できるだけゆっくり泳ぎます。
ゆっくり泳ぐことで、
- 姿勢
- 腕の動き
- バタ足
- 息継ぎ
を確認しやすくなります。
前へ進まない子ほど、まずはスピードを落としてフォームを確認することがおすすめです。
クロールで「進まない+疲れる」場合は?
クロールで進まない子は、同時に「すぐ疲れる」という悩みを持っていることがあります。
これは、
進まない
↓
もっと強く手足を動かす
↓
疲れる
↓
フォームが崩れる
↓
さらに進まなくなる
という悪循環が起きている可能性があります。
この場合、
「もっと頑張る」ことが逆効果になることもあります。
まずは姿勢や水の捉え方を確認し、少ない力で進む泳ぎを身につけることが重要です。
クロールで足が沈んで進まない場合は?
足が沈んでいる場合、
「もっとバタ足をすれば浮く」
と思うかもしれません。
しかし、原因が頭の位置や姿勢にある場合、キックだけを強くしても改善しないことがあります。
まず、
- 視線が前を向いていないか
- 頭を持ち上げていないか
- 息継ぎで顔を上げていないか
を確認しましょう。
頭の位置が安定すると、腰や足も浮きやすくなります。
息継ぎをすると進まなくなる場合は?
息継ぎなしでは進めるのに、呼吸をすると急に止まる場合があります。
これは、
- 顔を上げすぎる
- 息継ぎ中に腕が止まる
- 呼吸に時間をかけすぎる
- 息継ぎ後に姿勢が崩れる
などが原因として考えられます。
この場合は、通常のクロールを何度も泳ぐよりも、息継ぎ動作だけを分けて練習することがおすすめです。
何度練習してもクロールが進まない場合は?
何度泳いでも同じ状態なら、
「練習量が足りない」
とは限りません。
例えば、足が沈んだフォームのまま何度も泳げば、そのフォーム自体が癖になる可能性があります。
一度、
泳ぐ
↓
原因を確認する
↓
部分練習をする
↓
もう一度泳ぐ
という流れに変えてみましょう。
本人だけでは自分の泳ぎを見ることが難しいため、何度練習しても改善しない場合はコーチなどにフォームを確認してもらうことも一つの方法です。
クロールで25m泳ぐためには「速さ」より「効率」が大切
10mや15mは泳げるけれど、25mまで届かない子の場合、
「もっと速く泳ごう」
とする必要はありません。
むしろ重要なのは、
25mを最後まで泳げる力の使い方
です。
例えば、
スタートから全力
↓
10mで疲れる
↓
息継ぎが乱れる
↓
15mでフォームが崩れる
という泳ぎでは、25m完泳は難しくなります。
25mを目指すなら、
真っ直ぐ浮く
↓
水を後ろへ押す
↓
小さなキック
↓
一定の呼吸
↓
同じペースで泳ぐ
という流れを意識しましょう。
子どもにクロールを教えるときのポイント
保護者の方が教える場合、
「もっとバタ足!」
「もっと腕を回して!」
と伝えるだけでは、かえって力が入りすぎてしまうことがあります。
例えば、
「頭を上げないで真っ直ぐになってみよう」
「手で水を後ろに送ってみよう」
「バタ足を半分くらいの強さにしてみよう」
など、一度に一つだけ具体的に伝えることがおすすめです。
そして、
「さっきより進んだね」
と変化を本人にも伝えます。
自分の動きと結果がつながると、子ども自身もフォームを理解しやすくなります。
夏休みにクロール25m完泳を目指したい方へ
「クロールをしているのになかなか前へ進まない」
「10m・15mまでは泳げるけれど25mまで届かない」
「バタ足を頑張っているのに、途中で疲れてしまう」
そんなお子さまに向けて、日本水泳パーソナル専門店では、夏休み限定の**「25m完泳チャレンジ」**を実施しています。
一人ひとりの泳ぎを確認し、
- 姿勢
- バタ足
- 腕の使い方
- 水の捉え方
- 息継ぎ
- 泳ぐペース
などから、クロールで前へ進みにくくなっている原因を分析します。
そして、
「とにかくたくさん泳ぐ」のではなく、「その子が今つまずいている動作を練習する」
ことを大切にしています。
夏休み中にクロール25m完泳を目指したい方は、詳しい内容をご覧ください。
▼ 夏休み限定「25m完泳チャレンジ」
クロールで進まないことについてよくある質問
Q.クロールでバタ足をしても進まないのはなぜですか?
膝を大きく曲げている、キックが大きすぎる、足首に力が入っているなどの原因が考えられます。
脚の付け根から小さくリズムよく動かすことを意識してみましょう。
Q.クロールはバタ足を強くすれば速く進みますか?
強くすれば必ず速くなるわけではありません。
大きすぎるキックは水の抵抗を増やしたり、体力を消耗したりすることがあります。
姿勢や腕の動きも合わせて確認することが重要です。
Q.クロールで腕を回しているのに進まないのはなぜですか?
腕を動かしていても、水を十分に後ろへ押せていない可能性があります。
腕を速く回すよりも、1回ずつ水を捉えて後ろへ送ることを意識しましょう。
Q.クロールで足が沈むと進みにくくなりますか?
はい。
足が沈んで体が斜めになると、水の抵抗が大きくなりやすくなります。
頭の位置や息継ぎの方法、キックなどを確認しましょう。
Q.息継ぎをすると急に進まなくなるのはなぜですか?
顔を持ち上げることで足が沈んだり、腕が止まったりしている可能性があります。
顔を上へ上げるのではなく、体の回転に合わせて横へ向けることを意識します。
Q.クロール25mを泳ぐために一番大切なことは何ですか?
一つだけではありませんが、速さよりも少ない力で効率よく前へ進める泳ぎを身につけることが重要です。
姿勢・呼吸・キック・腕の動きを整え、一定のペースで泳げるようにしていきましょう。
まとめ|クロールで進まないときは「もっと頑張る」よりフォームを確認しよう
クロールで前に進まない主な原因には、
- 足が沈んでいる
- バタ足が大きすぎる
- 膝からキックしている
- 腕で水を後ろへ押せていない
- 腕を速く回しすぎている
- 息継ぎで姿勢が崩れている
- 全身に力が入りすぎている
などがあります。
前へ進まないと、
「もっと強くバタ足をする」
「もっと速く腕を回す」
と考えがちです。
しかし、それによって水の抵抗が増えたり、体力を余計に使ったりすることもあります。
クロールで大切なのは、
真っ直ぐ浮く
↓
水を後ろへ押す
↓
小さくキックする
↓
姿勢を崩さず呼吸する
↓
1回の動作でしっかり進む
ということです。
特に25mを目指している子は、速く泳ぐ必要はありません。
「たくさん動いて進む」から「少ない力で効率よく進む」へ。
泳ぎ方を少し変えるだけで、同じ体力でも進める距離が変わる可能性があります。
