泳げない子に親ができることは?水泳が苦手な子への声かけ・練習方法を水泳コーチが解説
「周りの子は泳げるのに、うちの子はまだ泳げない」
「親として何か練習をさせた方がいい?」
「教えようとすると、嫌がってしまう……」
子どもが水泳を苦手としていると、「何とかしてあげたい」と考える保護者の方は多いのではないでしょうか。
特に学校の水泳授業が始まる時期になると、
「授業についていけるかな」
「25m泳げなくても大丈夫かな」
と心配になることもあると思います。
しかし、泳げない子に対して大切なのは、いきなり泳ぎ方を教え込むことではありません。
まずは、
「なぜ泳げないのか」を理解し、その子に合った方法でサポートすること
が重要です。
この記事では、水泳コーチの視点から、泳げない子に親ができること、家庭でできる練習方法、避けたい声かけなどについて詳しく解説します。
子どもが泳げないのには理由がある
まず知っておきたいのは、
「泳げない=運動神経が悪い」ではない
ということです。
水泳は、陸上で行うスポーツとは大きく異なります。
水の中では、
- 呼吸する
- 浮く
- 姿勢を保つ
- 手を動かす
- 足を動かす
といった複数の動作を同時に行います。
そのため、走ることや球技が得意な子でも、水泳だけ苦手ということは珍しくありません。
まずは「泳げない」という結果ではなく、どの部分でつまずいているのかを確認してみましょう。
泳げない子に多い5つの原因
1.水への恐怖心がある
泳ぐ以前に、
- 顔を水につけるのが怖い
- 鼻や耳に水が入るのが嫌
- 足が床から離れるのが怖い
という子もいます。
この状態で無理に泳がせようとすると、水への恐怖心がさらに強くなる可能性があります。
まずは水に慣れることから始めましょう。
2.水に浮く感覚が分からない
泳ぐためには、手足を動かす前に「浮く」ことが必要です。
ところが、水泳が苦手な子ほど、
「沈みたくない」
という気持ちから全身に力を入れてしまうことがあります。
力が入りすぎると姿勢が崩れ、かえって泳ぎにくくなることもあります。
伏し浮きやけのびなどを通して、体を水に預ける感覚を身につけることが大切です。
3.呼吸がうまくできない
クロールで途中まで泳げるのに止まってしまう子の場合、息継ぎが原因になっていることがあります。
特に多いのが、水中で息を止めてしまうケースです。
顔を上げてから、
「吐く → 吸う」
を行おうとすると、十分に空気を吸う時間がありません。
まずは「水中で吐く」という呼吸の基本を身につけることが重要です。
4.手足を頑張って動かしすぎている
泳げない子を見ると、
「もっとバタ足して!」
「もっと手を回して!」
と言いたくなるかもしれません。
しかし、手足を速く動かせば泳げるとは限りません。
力を入れすぎることで疲れやすくなり、10mや15mで止まってしまうこともあります。
25m完泳を目指す場合は、速さよりも少ない力で進める泳ぎ方を身につけることが大切です。
5.本人に合った練習ができていない
同じ「泳げない」という状態でも、原因は子どもによって違います。
例えば、
A君は「息継ぎ」
B君は「キック」
C君は「水への恐怖心」
が原因かもしれません。
全員に同じ練習をしても、同じように上達するとは限りません。
だからこそ、
その子がどこでつまずいているのかを見つけること
が上達への第一歩になります。
泳げない子に親ができる7つのこと
ここからは、保護者の方が実際にできるサポートを紹介します。
1.他の子と比べない
最も大切にしてほしいポイントの一つです。
「同じ学年の○○ちゃんはもう泳げるよ」
「弟はできたのに」
と比較されると、子どもは、
「自分は水泳が苦手なんだ」
と思い込んでしまうことがあります。
比較するのであれば、周りの子ではなく以前のお子さま自身と比べましょう。
「前は顔をつけられなかったのに、今日はできたね」
「この前より長く泳げたね」
という声かけがおすすめです。
2.小さな「できた」を見つける
水泳の目標を、
「25m泳ぐ」
だけにしてしまうと、達成するまでずっと「できていない」という状態になります。
そこで、目標を細かく分けます。
例えば、
顔をつけられた
↓
浮けた
↓
けのびができた
↓
バタ足で進めた
↓
5m泳げた
↓
10m泳げた
↓
息継ぎができた
↓
25m泳げた
というように、小さな成功を積み重ねていきます。
子ども自身が、
「前よりできるようになった!」
と感じることが、水泳への自信につながります。
3.「頑張って」より具体的な声かけをする
もちろん「頑張って」という言葉が悪いわけではありません。
ただ、水泳が苦手な子は、すでに十分頑張っている場合があります。
そのようなときは、
「もっと頑張って!」
ではなく、
「さっきより顔を長くつけられたね」
「今のバタ足、すごく進んでいたよ」
「息継ぎが1回できたね」
など、できたことを具体的に伝える方が子ども自身も成長を実感しやすくなります。
4.いきなり25mを泳がせない
「25m泳げるようになってほしい」
と思うと、何度も25mに挑戦させたくなるかもしれません。
しかし、10mでフォームが崩れている子に何度25mを泳がせても、同じところで止まってしまう可能性があります。
まずは、
「なぜ10mで止まるのか」
を確認しましょう。
息継ぎが原因なら息継ぎを練習する。
キックが原因ならキックを練習する。
姿勢が原因ならけのびを練習する。
距離ではなく原因を練習することが重要です。
5.水泳を嫌いにさせない
泳げるようになることも大切ですが、それ以上に避けたいのが、
「水泳そのものが嫌いになること」
です。
毎回、
「今日は25m泳ぐまで帰らないよ」
「どうしてできないの?」
と言われながら練習すると、プールへ行くこと自体が嫌になってしまう可能性があります。
特に水への恐怖心がある子は、焦らず段階的に進めましょう。
6.家でできる練習を取り入れる
水泳はプールでしか練習できないと思われがちですが、実は自宅でもできることがあります。
特に、
- 呼吸
- 姿勢
- 息継ぎの動作
などは、プール以外でも確認できます。
毎日長時間練習する必要はありません。
数分程度でも繰り返すことで、動きを覚えやすくなります。
7.親だけで解決しようとしない
親子で練習すると、
「ちゃんと聞いて!」
「さっき言ったでしょ!」
となってしまうこともあります。
これは珍しいことではありません。
親だからこそ甘えが出たり、反対に保護者側も一生懸命になりすぎたりするからです。
そのような場合は、無理に親だけで教え続ける必要はありません。
スイミングスクールや個人レッスンなど、第三者に任せることも一つの方法です。
家でできる水泳練習
お風呂で「ブクブク・パッ」
息継ぎが苦手な子におすすめです。
水の中で息を吐き、
顔を上げたら息を吸います。
まずは、
「水中では息を吐く」
という習慣を身につけましょう。
※浴槽での練習は、必ず保護者がそばで安全を確認し、顔を無理に水へ入れさせないようにしてください。
鏡の前で息継ぎ練習
クロールの息継ぎでは、顔を上へ持ち上げるのではなく、横へ向けることが重要です。
鏡の前で、
正面
↓
横
↓
正面
とゆっくり動かしてみましょう。
ストリームラインの姿勢
立った状態で両腕を頭の上へ伸ばし、腕で耳を挟みます。
頭から足までをできるだけ細長くするイメージです。
水の中で抵抗の少ない姿勢を作る基本になります。
親が教えるときに避けたい5つのこと
「なんでできないの?」と言う
子ども自身も、なぜできないのか分かっていないことがあります。
責めるより、
「どこが難しかった?」
と聞いてみましょう。
一度にたくさん直す
「顔を下げて!」
「バタ足して!」
「手も伸ばして!」
「息も吐いて!」
一度に複数の指示を出されても、子どもはすべてを処理できません。
一度に意識するポイントは1〜2個程度に絞りましょう。
無理に水へ入れる
水を怖がっている子を無理に潜らせたり、突然顔へ水をかけたりすることは避けましょう。
水への恐怖心を強めてしまう可能性があります。
泳いだ距離だけで評価する
5mしか泳げなかったとしても、
「息継ぎが前より上手だった」
「フォームがきれいだった」
という成長があるかもしれません。
距離以外の変化にも注目しましょう。
保護者自身が焦る
「夏休みまでに」
「学校の授業までに」
と期限があると、保護者の方が焦ってしまうことがあります。
しかし、その焦りは子どもにも伝わります。
目標を持つことは大切ですが、現在の泳力から一つずつ課題をクリアしていきましょう。
スイミングスクールに通っているのに泳げない場合は?
「何年もスイミングスクールに通っているのに、なかなか25m泳げない」
という相談を受けることもあります。
だからといって、スイミングスクールが合っていないとは限りません。
グループレッスンには、
- 継続的に練習できる
- 友達と一緒に楽しめる
- 基礎から段階的に学べる
という大きなメリットがあります。
一方で、複数の子どもを同時に指導するため、一人の苦手な動作だけに長い時間を使うことは難しい場合があります。
そのため、
普段はスイミングスクール+苦手な部分だけ個人レッスン
という組み合わせも一つの選択肢です。
どのタイミングでコーチに相談すればいい?
次のような場合は、一度専門のコーチに泳ぎを確認してもらうことをおすすめします。
- 同じところで何か月もつまずいている
- 何度練習しても息継ぎができない
- 10〜15mから距離が伸びない
- 親子で練習するとケンカになってしまう
- 本人が「泳げないからプールが嫌」と言い始めた
- 学校の水泳までに25mを目指したい
特に、
「何を練習すればいいのか分からない」
という状態になったら、泳ぎを客観的に見てもらうことで原因が見つかる場合があります。
夏休みに25m完泳を目指したい方へ
「学校の水泳で困らないようにしてあげたい」
「今年の夏こそ25m泳げるようになってほしい」
「親が教えているけれど、なかなか上達しない」
そんなお子さまに向けて、日本水泳パーソナル専門店では、夏休み限定の**「25m完泳チャレンジ」**を実施しています。
一人ひとりの泳ぎを確認し、
- 息継ぎ
- 姿勢
- キック
- 腕の動き
- 泳ぐペース
などから、25mまで届かない原因を分析。
その子の現在の泳力や課題に合わせて、必要な練習を行います。
「たくさん泳がせる」のではなく、
「なぜ泳げないのかを見つけて、その原因を練習する」
ことを大切にしています。
夏休み中にクロール・平泳ぎで25m完泳を目指したい方は、詳しい内容をご覧ください。
▼ 夏休み限定「25m完泳チャレンジ」
泳げない子へのサポートについてよくある質問
Q.小学生で泳げないのは遅いですか?
一概に遅いとは言えません。
水泳経験や練習環境は子どもによって異なります。
学年だけで周囲と比較するのではなく、現在どこまでできていて、次に何を身につければよいのかを見ることが大切です。
Q.親が水泳を教えても大丈夫ですか?
基本的な水慣れや呼吸、姿勢などを一緒に練習することはできます。
ただし、無理に泳がせたり、一度に多くのことを修正したりすることは避けましょう。
親子だとお互いに感情的になってしまう場合は、コーチに任せる方法もあります。
Q.泳げない子には何から教えればいいですか?
現在の泳力によります。
水を怖がっている場合は水慣れ、顔をつけられる場合は浮く・けのび、ある程度泳げる場合は呼吸やフォームなど、段階を分けて練習しましょう。
いきなりクロール25mを目指す必要はありません。
Q.25mまであと少しの場合、何を練習すればいいですか?
10〜15m程度泳げる場合は、息継ぎや姿勢、キック、泳ぐペースなどを確認してみましょう。
特に途中で苦しくなって止まる場合は、呼吸方法に原因がある可能性があります。
Q.水泳を嫌がる場合は休ませた方がいいですか?
嫌がる理由を確認することが大切です。
水そのものが怖いのか、できないことが恥ずかしいのか、指導環境が合わないのかによって対応は変わります。
無理に続けるのではなく、まず本人の気持ちを聞いてみましょう。
まとめ|親にできる一番大切なことは「できる環境を作ること」
泳げない子に対して、保護者の方がすべての泳ぎ方を教える必要はありません。
親にできる大切なサポートは、
- 他の子と比べない
- 小さな成長を認める
- 具体的な声かけをする
- 無理に泳がせない
- 原因に合った練習をする
- 水泳を嫌いにさせない
- 必要なら専門家を頼る
ことです。
子どもが泳げないと、保護者の方も焦ってしまうことがあります。
しかし、水泳の上達スピードは一人ひとり違います。
昨日できなかったことが今日一つできたのであれば、それも立派な成長です。
「まだ25m泳げない」ではなく、
「25mまで、あと何ができればいいのか」
という視点で、お子さまの成長をサポートしていきましょう。
